アフガニスタンを知るための70章 (エリア・スタディーズ)
東西冷戦や宗教原理主義の台頭、いわゆる「テロとの戦い」の舞台となるなど、数十年にわたり苦しい状況に置かれているアフガニスタン。日本との国交樹立90周年を迎えるにあたり、その歴史と文化、人びとの暮らしを、平和と復興への期待を込めて幅広く紹介する。 はじめに――アフガニスタンとはなにか アフガニスタン概略全図 Ⅰ アフガニスタンの国の輪郭 第1章 国の形と統治機構――国民国家アフガニスタンの相貌 第2章 アフガニスタンの風土――多様な自然環境と景観 第3章 多民族が織りなす社会――言語・宗教・文化の交流と共存 第4章 アフガニスタンにおける「民族」対立の構造――パシュトゥンによる国民統合の歴史からみる分断 Ⅱ 国の歩み 第5章 アフガニスタンの曙――旧石器時代~鉄器時代 第6章 アレクサンドロスの東方への夢――バクトリアとソグディアナ 第7章 クシャン朝――東西交易と花開く仏教文化 第8章 西方と北方からの侵入者たち――ササン朝、フン、イスラム 第9章 ドゥラニ朝の時代――アフガニスタン政治史とパシュトゥン人 第10章 「グレート・ゲーム」の時代におけるアフガニスタン――19世紀から20世紀初頭の政治動態 第11章 王政の廃止、ソビエト軍の侵攻、内戦、タリバン政権――国際情勢の荒波にもまれて 第12章 アフマド・シャー・マスード――国民的英雄の素顔 【コラム1】アフガニスタンの教育システムと教科書からみる学校教育 Ⅲ 生活の基盤 第13章 現代アフガニスタン経済事情――課題と活路 第14章 近年のアフガニスタン経済動向――混乱する国内情勢と困難な農業復興 第15章 商業、バザール経済、地域経済、ハワーラ――公式・非公式の仕組みが共存するアフガニスタン商業活動の諸相 第16章 アフガニスタンの環境問題とごみ――カーブルにおける廃棄物管理 第17章 アフガニスタンの医療事情――厳しい自然環境や道路事情、宗教、伝統が課題 第18章 苦しい家計事情――なくならない貧富の差と貧困層 【コラム2】アフガニスタンの手織り絨毯 【コラム3】意外と似ている日本とアフガニスタン Ⅳ 多声的な文化 第19章 アフガニスタンの人びとの一生――誕生から冠婚葬祭、宗教行事から儀礼まで 第20章 アフガニスタンの人びとの暮らし――民族や宗教で異なる衣食住 第21章 アフガニスタンのコミュニケーション事情――戦後変化を遂げたマスメディアと娯楽 第22章 アフガニスタン人の娯楽と芸能模様――演劇・音楽・舞踊について 【コラム4】ブズカシ 第23章 映画から見たアフガニスタン――外部者の眼から映像の自己表現へ 第24章 アフガニスタンの遊牧民――その歴史と多様性 第25章 パシュトー文学と「ダリー語文学」の形成――20世紀における国民統合政策との連関 第26章 おしゃれ好きのアフガン人――既製服よりオーダーメイドが主流、古着だってコーディネート 第27章 歌詞を通じてみるアフガニスタンの心――愛する人や故郷への想い 【コラム5】ヘラートの細密画(ミニアチュール) Ⅴ 文明の十字路 第28章 オクソスの流れ――多様な文化をつなぐ象徴 第29章 黄金のバクトリア――ティリア・テペ 第30章 漢籍史料からみたアフガニスタン――7世紀から8世紀を中心に 第31章 仏像の誕生――怖れを知らぬ獅子 第32章 求法僧の道――玄奘がたどったアフガニスタン 第33章 メス・アイナク遺跡群――埋もれた仏教都市 第34章 マルコ・ポーロの道――正確なそして夢を誘う記述 第35章 イスラムが残した建築――土着の建築伝統に刻まれた文化往来の軌跡 第36章 アジア・ハイウェイ――首都カーブルで東西幹線AH1と南北幹線AH7が交差 第37章 ラピス・ラズリ交易の中核地としてのアフガニスタン――不正採石・密輸問題を中心に 【コラム6】悲劇に見まわれ続けるジャムのミナレット Ⅵ アフガニスタンの旅 第38章 アフガニスタンとヨーロッパ――フランスとの出会い 第39章 アフガニスタンの動物と保護区――過酷な環境に生きる生き物たち 第40章 バーミヤン――光り輝く土地 第41章 カーブル――国の激動の歴史を体現している都市 【コラム7】駐アフガニスタン日本公使館のはじまり 【コラム8】カーブルの日々 第42章 マザーレ・シャリフ――白鳩舞う紺碧の墓標 第43章 ヘラート――文化香る古都 第44章 カンダハール――アフガニスタンの古都に2004年に訪れる 第45章 ガズニ――かつての文化センター都市 第46章 改宗の光があてられたヌーリスタン――山の伽藍、光の国の饗宴 第47章 ワハン回廊――今も生きるグレート・ゲームの狭間 【コラム9】チェル・ボルジ紀行 Ⅶ 日本とアフガニスタン 第48章 日本とアフガニスタンの出会い――なぜか心かよう二つの国 第49章 裸の眼で都市文明を射る――東松照明著『サラーム・アレイコム』をめぐって 第50章 アフガニスタンの陶器作り――古代からつづく伝統的な製法 第51章 NGOの支援活動――子ども・若者・成人への教育支援を中心として 第52章 日本に住むアフガニスタン人――千葉県に4割以上 第53章 文化遺産を護る――平山郁夫画伯の取り組み 第54章 アフガニスタンとメディア――どう伝えてきたのか 第55章 アフガニスタンにおける日本の学術調査――自らの目で現地を見る 【コラム10】ヒンドゥクシュ山脈に蝶を追って Ⅷ 戦後復興 第56章 「地雷」と生きる――被害の現状と課題 第57章 難民問題と国連組織の活動――帰還民とIDPへの支援 第58章 アフガン女性と人権――ジェンダー差別とジェンダーにもとづく暴力の視点から 第59章 10人のうち6人が文字を読めない社会での教育――識字の大きな役割 第60章 アフガニスタンの麻薬・違法薬物――アヘン・ヘロインと新たな脅威・覚せい剤、日本の支援 第61章 学校を造る――バーミヤンでの学校建設とその後の交流 第62章 羽ばたけ、山の学校の子どもたち――支援・現実・夢 第63章 井戸を掘り、水路をうがつ――中村哲とPMSの活動 第64章 復興への日本の貢献――外交と安全の間で 第65章 文化遺産の継承――命を懸けて引き継ぐ歴史 【コラム11】アフガニスタン、旅の歌・歌の旅 Ⅸ アフガニスタンはどこへ向かうのか 第66章 統合か、分裂か――再生への模索 第67章 アフガニスタンをめぐる利権――他国の国益・利権をめぐる思惑に振り回されるアフガニスタン 第68章 テロはなぜ起こるのか?――もうひとつのサウジアラビアの「輸出品」 第69章 新たなアフガニスタンをめざして――新生アフガニスタンに立ちはだかる高い壁 第70章 明日への希望――アフガニスタン人との絆 【コラム12】幻想の未来 補論 アフガニスタン情勢の変化 あとがき 資料2 アフガニスタンと日本の交流・年譜 資料1 アフガニスタンを知るための文献・映像