白から黄色へ ヨーロッパ人の人種思想から見た「日本人」の発見――1300年~1735年
マルコ・ポーロの日本についての言及以降、ヨーロッパ人の東アジアへの旅行の機会が増し、その存在を知覚によって認識するようになる。その後の400年間、人種という概念がいかに形成され、日本人の捉え方がどう変化していったか、その過程を膨大な資史料から解明する。 日本の読者へのメッセージ 謝辞 著者の言葉 序 人種と人種論議――基本定義 啓蒙時代以前の人種――論議とその要素そして展開 ステージⅠ――最初の出会い ステージⅡ――地域の情報 ステージⅢ――長期の出会いと地域情報の拡大 ステージⅣ――グローバルな情報と集大成 集団の地位に関する近世の決定要素 本書の目標 第一局面 推測段階――出会い以前の日本に関する知識(一三〇〇年-一五四三年) 第一章 ジパングの浮上とその先駆的民族誌 肌の色の中世的意義とポーロの見解 第二章 大航海時代の幕開けと“ジパング” カリブ海のジパング――コロンブスの妄想 マラッカに来る謎のゴーレス 総括――推測段階における“人種” 第二局面 観察――初期の出会いと論議の始まり(一五四三年-一六四〇年) 第三章 日本人に関する初期の観察 動き始めた論議――近世初期日本に関する人種知識の生産者たち 日本人とは何者か――初期の特徴描写 日本人の身体検査とその全体像 日本人の起源と民族的類縁性――予備的推論 第四章 当代のヒエラルキーにおける日本人の位置 尺度としての力 測定基準としての技術及び文化の達成度 包括的民族階層化の登場 アコスタの階層論 ヴァリニャーノの階層論 リンスホーテンの階層論 集団の属性論 第五章 新人類秩序の鏡像 政治的軍事的ヒエラルキー――奴隷と傭兵 社会的文化的ヒエラルキー――先住民との性交渉と結婚 精神の階層――イエズス会の会士資格 力とヒエラルキー――日本人対中国人 第六章 観察局面期の“人種”とその認識上の限界 近世の観察者に見る認識上の限界 可視域を無視し不可視域を見る 総括――観察段階の“人種” 第三局面 再検討――議論の到達点(一六四〇年-一七三五年) 第七章 日本人の体型と起源に関するオランダの再評価 身体への転換――初期の徴候 日本人の起源に関する再検討 第八章 力、地位そして世界秩序における日本人の位置 オランダの力とアジアにおけるその限界 日本人の力とオランダに対するその影響 世界及びアジアのヒエラルキーと日本の位置 第九章 新しい分類学を求めて――植物、医術そして日本人 植物学、医学そして科学的思考の高まり 包括的人間分類法の誕生と日本人 人種マーカーとしての黄色い肌の登場 第一〇章 “人種”と「再検討段階」における認識上の限界 視覚的想像の限界 当代ペテン師の教訓 要約――「再検討段階」における“人種” むすび――近世ヨーロッパにおける人種論議と日本人のケース 近世人種論議のメカニズム 近世ヨーロッパにおける人種の本質 ローカルからグローバルへ――近世人種論議に対する日本の寄与 “ヨーロッパ”の概念形成と人種に対するそのインパクト 人種とヨーロッパ例外主義の問題 まとめそしてプロローグ 訳者あとがき 図の掲載書名と出典 注 参考文献 索引