近代アフガニスタンの国家形成――歴史叙述と第二次アフガン戦争前後の政治動向 (世界歴史叢書)
アフガニスタンの「国家の輪郭」を形成する要素である「近代」国家成立に関する歴史認識はどのように構築されたのか。18世紀のドゥッラーニー朝成立の経緯から、第二次アフガン戦争前後に生じたイギリス、そしてパシュトゥーン諸勢力との相互関係等による様々な変化まで、膨大な史料をもとに分析・論考する。 アフガニスタン関係地図 序章 1 はじめに 2 本書全体に関する先行研究 3 主要史料解題 第一章 アフガニスタンにおける「近代」歴史叙述の成立過程 1 はじめに 2 ドゥッラーニー朝成立に関する諸研究の立場 2-1 アフガニスタンの研究者による視点 2-2 ドゥッラーニー朝成立をめぐる外部研究者による視点 3 18世紀ペルシア語史料におけるドゥッラーニー朝成立に関する歴史叙述 3-1 『アフマド・シャー史』が描くドゥッラーニー朝の成立過程とその後 3-2 サドザイ朝期ペルシア語史料における歴史叙述 4 アフガニスタン「近代史」の成立 4-1 19世紀のペルシア語史料における歴史叙述の展開 4-2 『アフガニスタン諸事史』と『ソルターン史』における歴史叙述 4-3 『諸史の灯』の歴史叙述 4-4 イギリス側英文史料における歴史叙述 5 小括 第二章 第二次アフガン戦争とイギリスによる統治政策の変遷 1 はじめに 2 本章の研究目的と関連先行研究 3 第二次アフガン戦争前のアフガニスタン 3-1 シェール・アリー期のアフガニスタン情勢 3-2 英領インドとロシア帝国との外交関係 4 第二次アフガン戦争後のアフガニスタン統治体制 4-1 ガンダマク条約の締結 4-2 アフガニスタン分割統治政策とアブドゥル・ラフマーンの即位 5 アミール・アブドゥル・ラフマーン即位直後の英領インド関係 6 小括 第三章 モフマンド族ラールプーラにおける英領インドの統治政策 1 はじめに 2 モフマンド族とラールプーラのハーンの系譜 2-1 モフマンド族 2-2 第二次アフガン戦争までのラールプーラのハーン 2-3 ラールプーラのハーンの財源と政治的地位 3 第二次アフガン戦争とイギリスの対国境地帯政策 3-1 第二次アフガン戦争前半におけるイギリスの部族地帯統治政策 3-2 第二次アフガン戦争後のラールプーラのハーン――モハンマド・サディーク・ハーン 4 1880年1月モフマンド騒乱の展開 5 小括 第四章 デュアランド・ライン合意の締結 1 はじめに 2 19世紀末のアフガニスタン、英領インド関係 2-1 1880年代のアフガニスタン、英領インド関係 2-2 クッラムのトゥーリー族をめぐって 3 ワズィーリスターンをめぐるアフガニスタン、英領インド間関係 3-1 ワズィール族の帰属問題 3-2 アフガニスタン、英領インドによるワズィール族取り込み政策 3-3 ワズィール族をめぐるアフガニスタン、英領インド間の対立 4 デュアランド・ライン合意締結とその後のアフガニスタン側の対応 5 小括 結論 あとがき 資料編 1 アフガニスタン、イギリス間で締結された条約文 ① 1855年ペシャーワル条約 ② 1857年改正ペシャーワル条約 ③ 1879年ガンダマク条約 2 アフガニスタン関係年表 3 ラールプーラのハーン(モフマンド族モールチャ・ヘール氏族)系譜図 史料と参考文献 1 未公刊史料 2 公刊史料 ① 主要史料と略号 ② ペルシア語・パシュトー語史料 ③ 英語史料 参考文献 ① アフガニスタンの歴史教科書(ペルシア語〈ダリー語〉) ② ペルシア語・ウルドゥー語・パシュトー語文献 ③ 英語文献 ④ ロシア語文献 ⑤ 日本語文献 索引