飛行機の戦争 1914-1945 総力戦体制への道 (講談社現代新書)
大艦巨砲主義に隠された戦争の実態は? なぜ国民は飛行機のために人、金、物を提供したのか? 気鋭の研究者が描く総力戦体制への道 なぜ国民は飛行機に夢を託し、人、金、物を提供したのか――。貧しい人びとの出世の手段としての航空兵。国民一人一人がお金を出しあって飛行機をつくる軍用機献納運動。防空演習ですり込まれる空襲の恐怖と、空中国防の必要性。学校、親への「説得」を通して行われる未成年の航空兵「志願」……。日本軍=大艦巨砲主義という通説をくつがえし、総力戦の象徴としての飛行機に焦点をあて、戦前、戦中の現実を描く。 なぜ国民は飛行機に夢を託し、人、金、物を提供したのか――。 貧しい人びとの出世の手段としての航空兵。 国民一人一人がお金を出しあって飛行機をつくる軍用機献納運動。 博覧会や女性誌・少年誌で描かれる「空」への憧れ。 防空演習ですり込まれる空襲の恐怖と、空中国防の必要性。 松根油の採取、工場への学徒動員。 学校、親への「説得」を通して行われる未成年の航空兵「志願」…… 巨大戦艦による戦争が古い〈軍の戦争〉であるとすれば、飛行機は新しい〈国民の戦争〉だった! 日本軍=大艦巨砲主義という通説をくつがえし、総力戦の象徴としての飛行機に焦点をあて、膨大な軍事啓蒙書などを手がかりに、戦前、戦中の現実を描き出す一冊。 第一章 飛行機の衝撃――大正~昭和初期の陸海軍航空 1 飛行機の優劣が勝敗を分ける――航空軍備の建設 2 飛行機と戦艦 3 墜落と殉職――人びとの飛行機観 第二章 満洲事変後の航空軍備思想 1 軍用機献納運動 2 海軍と民間の対国民宣伝――「平和維持」と「経済」 3 空襲への恐怖と立身出世 第三章 日中戦争下の航空宣伝戦 1 「南京大空襲」――高揚する国民 2 飛行機に魅せられて――葬儀・教育・観覧飛行 第四章 太平洋戦争下の航空戦と国民 1 太平洋戦争の勃発――対米強硬論と大艦巨砲主義批判 2 航空総力戦と銃後