宗教社会学: 神、それは社会である
いまも神は,いたるところで生きている――.社会学の知見に立ち,「宗教とは何か」に迫るとともに,政治・経済・学問・芸術・スポーツなどの根底に息づく宗教の論理を,身近な題材を通して鮮やかに描き出す.〈宗教社会学〉のリスタートを告げる入魂の一冊. はじめに 宗教社会学/生の苦難/ホモ・レリギオースス 1章 宗教 自己言及的システム 楽園追放/聖なるもの/知性の限界/儀礼のシステム/神なき時代/祭りのコミュニティ 2章 信仰 生を自覚的に生きる 修羅道/二度生まれ/生の技法/ロビンソン・クルーソー/「父」の代用品/死と再生 3章 教団 敵対して,団結する 排除の論理/宗教と社会/宗教的な一体感/魔女裁判/カリスマ/「新宗教」の時代 4章 儀礼 生活のリズムを刻む ローカルな集団/社会的な現実/イニシエーション/コミュニタス/トマスの公理/生活のリズム 5章 政治 ユートピアの思想史 アウトサイダー/「国民」の概念/大衆運動/「千年王国」の進行/ユートピア/日本の左派 6章 経済 われらは神を信じる 丸餅/自己調整的市場/魔術的世界/フェティシズム/禁欲説と解放説/日本型の集団主義 7章 学問 オープンな学びの場 八宗兼学/永劫の罰/エピステーメー/専門家の権威/バベルの塔/受験の神 8章 芸術 「美」の感覚の共有 修二会の聴聞/祭儀から演劇へ/美のコミュニティ/文化貴族/ディオニュソス的なもの/黒川能 9章 スポーツ 国民的一体感の醸成 スポーツ観戦/フットボール/興奮の追求/オリンピック/現代の神話/ナショナルな格闘技 10章 セクシュアリティ 「愛」の理想と現実 結婚式/「愛」の関係/道徳の根源/性の神話/姦淫/歌垣 11章 生と死 生の不安,死の恐怖 即身仏/バーチャル・リアリティ/実存的不安/老年期/葬礼/日本的な死生観 12章 新しい宗教 巨人の肩の上に立つ 天理教/世俗化/原理主義/カルト/スピリチュアリティ/日蓮主義 おわりに 神,それは社会である/壜のなかのメッセージ/根源的な問題 Sociology of Religion: God is Society, writ large Tomoyuki OKUI