スーツ=軍服!?―スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった!!
日常身につけている洋服のスタイルは驚くほどミリタリーに由来する。本書は、西欧服飾の通史、特に服飾全体をリードした軍服の歴史をたどりそれが今日のスーツ・ファッションにどう影響を与えているのかを時系列的に概観する。 我々が日常身につけている洋服のスタイルは驚くほどミリタリーに由来する。本書は、西欧服飾の通史、特に服飾全体をリードした軍服の歴史をたどり、それが今日のスーツ・ファッションにどう影響を与えているのかを、時系列的に概観する。 序章 ◆本当に「スーツは男の戦闘服」である ◆文明開化当時、スーツは最新式の服装だった ◆基本を知らなければ崩すことも出来ない ◆我々の身近にあるミリタリーファッションの影響 一、スーツの章 ①スーツまでの歴史を概観する ◆西欧の衣服は本来「ひらひら」 ◆長く続いた「ワンピース」の時代 ◆半ズボンとボタンの登場 ◆ルイ14世の「紳士服革命」 ◆ナポレオン時代は軍服花盛り ◆ヴィクトリア朝に登場する今のスーツ ②背広の襟(ラペル)について ◆背広の襟はもともと詰め襟 ◆2ボタンスーツと3ボタンスーツ、どっちが正式? ◆ダブルのスーツはフロックコートから ◆ボタンが広まるまで ◆男も女もレースの襟飾りの時代 ◆襟は自然発生したもの ◆ポーランド騎兵とハンガリー騎兵の制服 ◆紳士服にも「左前」があった時代 ③フロックコートの時代 ◆2人の「アルバート」とヴィクトリア女王 ◆質素倹約の父親、ファッションリーダーの息子 ◆フロックコートは「乗馬用上っ張り」 ◆「プルシャン・ブルーの軍服」の流行 ◆モーニングの登場 ◆そして現代型スーツの誕生 ◆フロックコートの退場 ◆タキシードも本当は英国海軍生まれ ◆日本の閣僚が夜でもモーニングを着る理由 ④軍服が背広に近づいてきた時代 ◆ドイツ空軍の「背広軍服」 ◆日本軍の折り襟軍服はドイツ軍の真似? ◆世界的に大流行した折り襟 ◆フランス陸軍式の学生服、英海軍式のセーラー服 ◆軍服が「ドレスダウン」したころ ⑤センターベントとサイドベンツ ◆「馬乗り」と「剣吊り」 ◆シングルにはセンターベント、ダブルにはサイドベンツ ◆軍刀を下げるのに便利? ◆ノーベンツの方がフォーマル? ⑥袖の仕様「本切羽」その他について ◆「切羽」とは日本刀の部品だが ◆英語では「リアル・カフ・ホールズ」 ◆ナポレオンも袖口のボタン外し ◆ドレスシャツを袖から覗かせる習慣 ◆ズボンの折り返しがあるほうがフォーマル? ⑦007はなぜイタリアン・スーツを着るのか? ◆ボンドは第2次大戦に従軍した海軍中佐 ◆ブリオーニのスーツは一着50万円也 ◆注文あつらえにも段階がある ◆コネリーのボンド ◆レイゼンビーのファッショナブルな007 ◆ロジャー・ムーアはエグゼクティブ風 ◆「マイアミヴァイス」のようなダルトン時代 ◆ブリオーニが採用された背景 ⑧「クールビズ」が気に入らない理由 ◆気になった「政治的ユニフォーム」 ◆制服効果の悪しき前例 ◆そもそも時代遅れな発想ではないか ◆見せかけではなく本当の環境対策を ◆やめるべきはネクタイではなく「衣替え」 ◆古来、偉い人ほどラフな格好を好んだ ◆スーツを駆逐する服装はあるか ◆たかがネクタイ、ですまない場合も ◆「涼しいだけ」では正装といえない 二、ブレザーの章 ◆色違いの「替え上着」ではすまない ◆「ブレザー」に二つの系統 ◆ケンブリッジ大学のボートクラブ ◆英国軍艦「ブレザー号」の逸話 ◆「セーラー服」は1857年に制式に ◆平和任務で名を残した名艦 ◆4代目「ブレザー」号 ◆海軍士官のジャケットはダブルのブレザーに 三、コートの章 ◆コートが必要になった時代 ◆チェスター・コートに名を残した伯爵 ◆水兵用のピーコート ◆モントゴメリー将軍が流行らせたダッフル ◆アクアスキュータムのトレンチ ◆クリミア戦争とファッション ◆ラグラン男爵とカーディガン伯爵 ◆塹壕で生まれた数々のもの ◆そして「塹壕」コート ◆軍用コートには不可欠な肩章 ◆肩章の長い来歴とは ◆「小さな肩」を頼もしく見せたい 四、ネクタイの章 ①クラヴァット普及までの謎 ◆真相はルイ13世か、14世か? ◆ローマ軍のフォカーレ ◆クロアチア兵、フランスに現る ◆クラヴァットの流行 ②結び下げネクタイの謎 ◆フォー・イン・ハンド・ノットの謎 ③レジメンタル・タイと「大佐」の権威 ◆レジメンタル・タイの特別な意味合い ◆軍服の「カーキ色」化 ◆軍隊における「連隊」の格 ◆古代以来の由緒ある呼び名 ◆レジメントが最高の編成だった ◆将軍にはなれるが大佐にはなれなかった ◆日本軍向けにすっきりと翻訳 ◆海軍の階級の由来 ◆キャプテンの由来は「斬り込み隊長」 ◆無理な陸海軍のすり合わせ ◆ストライプはなぜ英国と米は逆なのか ④水玉ネクタイの不思議 ◆水玉タイはなぜ格が高いのか ◆ブラックスーツを結婚式で着るのは日本人だけ? ◆水玉とは「ポルカ・ドット」 五、ブルゾンの章 ①戦闘服とブルゾン ◆「硫黄島からの手紙」への妙な難癖 ◆鬼の首を取ったようなブログの滑稽 ◆戦闘服が登場したのはごく最近 ◆Tシャツも米軍が普及させた ◆今の若者にも大人気のM65ジャケット ②ヒモ飾り「飾緒」の歴史 ◆「参謀職緒」は参謀専用ではない? ◆むしろ「副官=秘書」の印である ◆もともとは「馬の手綱」 六、勲章の章 ◆勲章の歴史をたどってみる ◆ガーター勲章と金羊毛勲章 ◆新時代の勲章レジオン・ド・ヌール ◆あまりにも有名なドイツの鉄十字勲章 ◆ヴィクトリア十字勲章、メダル・オブ・オナー、金鵄勲章など 七、靴の章 ◆謎だらけの「靴の歴史」 ◆とんがり靴とミッキーマウス靴 ◆靴に名を残したワーテルローの英雄 ◆19世紀に花開くさまざまな靴の様式 ◆靴の手入れは自分でするに限る ◆10足の靴を交互に履くほうが長持ち ◆老舗「トリッカーズ」の由来をたどる ◆創業時は「バルトロップ」社だったか 八、鞄の章 ①旅行用トランクとルイ・ヴィトン ◆日本にはなかった「カバン」の概念 ◆旅行が盛んになる時代が前提 ◆世界最古のトランク業者 ◆日本の家紋の影響というが ◆世界最大の巨大ファッション財閥に ◆ドン・ペリニオンの由来 ②奇跡のような紙のトランク ◆ゾウが踏んでも壊れないトランク ◆ヴァルカナイズという名の共通点 ◆靴のグッドイヤー・ウェルト製法とグッドイヤー氏 ◆薄幸の天才チャールズ・グッドイヤー ◆マッキントッシュとヴァルカナイズド製法 ◆なぜか紙から生まれた素材もヴァルカナイズドに ◆漱石も見た? グローブ・トロッターの流行 ③金属製のトランク ◆ドイツ空軍仕様のリモワのケース 九、帽子の章 ①二角帽までの時代 ◆装飾過剰の時代まで ◆三角帽、そして二角帽に変化 ◆軍帽から生まれたさまざまな様式 ②敬礼と脱帽の歴史 ◆ネルソンの麦わら帽子 ◆現代的な「官帽子」の成立 ③シルクハットの時代 ◆さまざまな帽子が出そろう19世紀後半 ◆帽子の消滅と復権の兆し 十、腕時計の章 ◆最初の懐中時計はヘンリー8世か ◆航空機と世界大戦が普及させた腕時計 十一、その他のこぼれ話 ◆まずはリーバイ・ストラウスから ◆レイバンの軍用サングラス ◆オールデンのコードバン靴 ◆英陸軍発祥のカジュアル・シューズ ◆一旅行者が流行させたサンダル ◆沈没船から引き上げられた帝政ロシアの幻の革 ◆万年筆と鉛筆の四方山話 ◆エルメネジルド・ゼニアの先見の明 ◆パラシュートから生まれたナイロン傘 ◆チャーチルの「特別製のもの」を守った特製の下着 あとがき 主要参考文献・参考サイト