ベンチャー・キャピタリスト 世界を動かす最強の「キングメーカー」たち (NewsPicksパブリッシング)

後藤直義
ニューズピックス
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2025年2月9日5:34

シリコンバレーを中心とした有名VCにフォーカスした書籍「ベンチャー・キャピタリスト」めちゃくちゃよかった。VCがどういう基準で投資意思決定をしているのか深く知れるし、スタートアップがスケールするためにおさえておくポイントも知れる。 特に印象に残ったポイントを以下にまとめておく ・“このモデルナという稀代のイノベーターがどのようにつくられたか、知っている日本人はほとんどいないはずだ。まず答えから明かすと、この会社はあるベンチャーキャピタルが、科学者、経営者、お金という3つの要素を、システマティックに集めて〝合成〟した会社なのだ。「5年前、僕たちが挑んでいるアイデアを信じている人たちなんていませんでしたよ。それどころか、ワクチンを完成させたと発表してからも、多くの人は疑っていたんじゃないでしょうか」  そう語るのは、フラッグシップ・パイオニアリング( Flagship Pioneering)という、ライフサイエンスの世界において革新的なスタートアップを次々と生んでいるトップVCの創業者、ヌバール・アフェヤンだ。この VCはまるでスタートアップ工場のように、一つまたひとつと、社内で実験的なスタートアップを立ち上げている。過去に 100社以上ものスタートアップを社内で設立しており、その一つがモデルナだったのだ。  モデルナはかつて「LS18」として生まれたプロジェクトだ。 LSというのは「ライフ・サイエンス」の略であり、 18というのは「 18番目のプロジェクト」という理由によって、自動的に振り付けられた数字にすぎない。” →あのモデルナがVC発のスタートアップだったということは知らなかった。スタートアップを次々に独自に生み出すファクトリーVC面白い ・“私はスタートアップの創業者に、必ず投げかけている質問があります。それは「すべての情報にアクセスできるユーザーがいて、最も合理的に判断をするとしたら、果たしてあなたの提供するサービスを選びますか」というものです。” →スタートアップ起業家としてこの質問にYesと答えられないならダメということ。起業家としても投資家としてもこの観点はもっておくべきだと思った。 ・“2018年に登場したトライブ・キャピタル( Tribe Capital)は、データ分析によって将来有望なスタートアップを見抜くという、データドリブン型投資のフロントランナーだ。  共同創業者であるテッド・メイデンバーグは、テクノロジー業界で活躍してきた有名投資家。一方でパートナーを組むのは、フェイスブックの爆発的な成長を裏側で支えた、有名データサイエンティストのジョナサン・シューだ。  彼らはスタートアップの創業者たちから膨大な社内データを預かると、独自開発したデータ分析システム「マジック・エイト・ボール( Magic 8-ball)」を活用して、まるで経営コンサルタントのように分析結果をフィード・バックしてくれる。それも無料だ。  この手法で毎年 200〜 300社ほどのスタートアップのデータ分析を手がけ、もしユーザーたちが熱烈に愛している「異常値」を叩き出すようなサービスを発見すると、すぐさま投資に乗り出すというベンチャーキャピタルだ。  超一流のスタートアップ投資家と、超一流のデータサイエンティストたちのコンビネーションは、いまデータドリブン投資という新しい地平線を切り拓いている。そのリーダーである、メイデンバーグが答えた。” →トライブキャピタルの存在は知っていたが、その仕組みについてこの書籍で深く知ることができた。無料でフィードバックしてあげることでたくさんのデータが集まってくる。データが集まってくるから精度高いフィードバックができ、かつ確実に伸びるスタートアップに投資できる。フェイスブックの爆発的な成功を支えてきたデータサイエンティストだからこそ出来る芸当である。 他にも引用したいポイントがあるが、ここらへんにしておこう。 まさに起業家・投資家必見の書籍。

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