記憶の原理
私たちが何かを憶え,そして思い出すときに,どのようなことが起きているのだろうか。人間の記憶を支える7つの原理を丁寧に解説。 私たちが何かを憶え,そして思い出すときに,どのようなことが起きているのだろうか。人間の記憶を支える7つの原理を丁寧に解説。 謝辞 第1章 はじめに 1.1 記憶の原理 1.2 法則,原理,効果 1.3 原理とは何か 1.4 記憶の7原理 第2章 システム説と処理説 2.1 システム説と処理説 2.2 システム説 2.3 処理説 2.4 まとめ 第3章 手がかりがなければ始まらない 3.1 原理1:手がかりによる駆動 3.2 手がかりを使わない記憶 3.3 ワーキングメモリにおける手がかりの証拠 3.4 まとめ 第4章 符号化と検索の関係が大切 4.1 原理2:符号化-検索間の関係 4.2 手がかりの強さと符号化特定性 4.3 転移適切性処理は「処理が似ていること」ではない 4.4 原理2から示唆されること 4.5 まとめ 第5章 手がかりの負荷は軽い方が良い 5.1 原理3:手がかりの過負荷 5.2 原理の説明力 5.3 手がかりの過負荷への反論 5.4 まとめ 第6章 記憶は単なる再現ではない 6.1 原理4:再構成 6.2 記憶の再構成に関する古典的な研究 6.3 誤情報効果 6.4 意味記憶の再構成 6.5 リアリティ・モニタリング 6.6 DRMパラダイム 6.7 「同定できなくても再認ができる」 6.8 直接記憶における再構成 6.9 瞬時記憶における再構成 6.10 アイコニック・メモリにおける再構成 6.11 まとめ 第7章 混じりけなしでは測れない 7.1 原理5:混在 7.2 課題や処理が「純粋である」とはどういうことか 7.3 記憶課題によって記憶システムを分けられるのか 7.4 処理過程も純粋ではない 7.5 神経画像化における減算法の論理 7.6 まとめ 第8章 目立つものほど憶えられる 8.1 原理6:相対的な示差性 8.2 レストルフ効果 8.3 短期記憶とワーキングメモリにおける示差性 8.4 モデルを使った原理の証明 8.5 感覚記憶における示差性 8.6 意味記憶における示差性 8.7 潜在記憶における示差性 8.8 心理的な次元の妥当性 8.9 まとめ 第9章 決めうちされるほど憶えにくい 9.1 原理7:特定性 9.2 記憶の階層構造と表象のレベル 9.3 外的な助けと特定性 9.4 健忘症における特定性 9.5 固有名詞 9.6 まとめ 第10章 最後に,再び原理について 10.1 記憶の7つの原理 10.2 本書の原理と他の原理との関係 10.3 本書の原理と,記憶の法則との関連 10.4 原理となりそうな候補 10.5 本書の原理の評価 訳者あとがき 参考文献 索引 A. M. スープレナント(Aimee M. Surprenant) 1992年,Ph.D. 取得(エール大学)。インディアナ大学での研究により,アメリカ国立衛生研究所からNational Research Service Awardを獲得。現職はニューファンドランド・メモリアル大学心理学科教授。 I. ニース(Ian Neath) 1991年,Ph.D. 取得(エール大学)。現職はニューファンドランド・メモリアル大学心理学科教授。人間の記憶について多くの論文や著書を執筆し,現在はMemory & Cognition, Journal of Memory and Language, Psychological Science誌で編集委員を務める。 今井久登(いまい ひさと) 1962年生まれ。1995年,東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(心理学)。東京大学助手,東京女子大学現代教養学部教授を経て,学習院大学文学部教授。著書に『新版 認知心理学』(有斐閣,2011),『心理学をつかむ』(有斐閣,2009)がある。