赤と青とエスキース (PHP文芸文庫)

青山 美智子
PHP研究所
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2022年本屋大賞第2位の作品が文庫化されました。物語は、メルボルン留学中の女子大生レイと日系人ブーの「期間限定の恋人」としての恋や、額縁工房で働く空知が出会う絵画「エスキース」を通じた愛の物語を描いています。全5篇の短編が、一枚の絵を中心に織りなす奇跡的な真実を探求します。著者は青山美智子です。

みんなのレビュー

青山美智子の小説を読むのは2作目となる。1作目に読んだ『お探し物は図書室まで』が最高に良かった。この作品でも、また感動できたら良いと思って読み始めた。 構成は、プロローグ、4話の本編、エピローグからなる短編小説になっている。 1話、2話まで読んで、普通に良い小説だなと感じた。ただ『お探し物は図書室まで』と比べると、少し物足りない気もした。 でも、3話目を読んで、ギクッとして、4話目を読んで、ドキッとして、そしてエピローグを読んだら、感動が爆発した! 2話目まで読んで、普通に良い小説と言ったが、訂正したい。この『赤と青とエスキース』は最高に良い小説だった。 タイトルにある、赤と青の色をうまく表現して描いている。近づいたり離れたりする登場人物の人間模様を、赤と青が織りなすように、1枚の絵画を完成するように描いている。芸術的な小説だ。 エスキースとは下絵のことだという。本番を描く前に構図を取るデッサンみたいなもの。読み終えてエスキースという言葉を選んだ意味が分かった気がした。 登場人物それぞれには、仕事、恋愛、人生、身体に、いろいろな悩みがる。倒れそうになると、背中をうまく支えながら、柔らかく前に押してくれる。こういう描写がとても上手い。青山美智子独特の描写と言っても良いだろう。 青山美智子は、とても素敵な作家だと、改めて思った。これからもたくさん作品を読んでいきたいと思う。

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