【2023年】「反論」のおすすめ 本 6選!人気ランキング
「土偶の正体」は果たして本当に解き明かされたのか? 竹倉史人『土偶を読む』(晶文社)を大検証! 考古学の実証研究とイコノロジー研究を用いて、土偶は「植物」の姿をかたどった植物像という説を打ち出した本書は、NHKの朝の番組で大きく取り上げられ、養老孟司ほか、各界の著名人たちから絶賛の声が次々にあがり、ついに学術書を対象にした第43回サントリー学芸賞をも受賞。 「『専門家』という鎧をまとった人々のいうことは時にあてにならず、『これは〇〇学ではない』と批判する“研究者”ほど、その『○○学』さえ怪しいのが相場である。『専門知』への挑戦も、本書の問題提起の中核をなしている」(佐伯順子)と評された。 しかし、このような世間一般の評価と対照的に、『土偶を読む』は考古学界ではほとんど評価されていない。それは何故なのか。その理由と、『土偶を読む』で主張される「土偶の正体」、それに至る論証をていねいに検証する。 考古学の研究者たちは、今、何を研究し、何がわかって、何がわからないのか。専門家の役割とは一体なんなのか、専門知とはどこにあるのか。『土偶を読む』を検証・批判することで、さまざまな問題が見えてくる。本書は、縄文研究の現在位置を俯瞰し、土偶を読み、縄文時代を読む書でもある。 執筆は、望月昭秀、金子昭彦、小久保拓也、佐々木由香、菅豊、白鳥兄弟、松井実、山科哲、山田康弘、吉田泰幸(順不同)。 【『土偶を読む』の検証は、たとえれば雪かきに近い作業だ。本書を読み終える頃には少しだけその道が歩きやすくなっていることを願う。雪かきは重労働だ。しかし誰かがやらねばならない。(望月昭秀)…はじめにより】 はじめに はたして本当に土偶の正体は解明されたのか? 検証 土偶を読む(望月昭秀) 1 カックウ(中空土偶)、合掌土偶――クリ 1‒1 カックウ(中空土偶) 全然そっくりじゃないカックウとクリ 恣意的な資料の選択の豊作 1‒2 合掌土偶 屈折像土偶あれこれ クリというメジャーフード 「イコノロジー×考古学」は正しいふれこみか? 2 ハート形土偶――オニグルミ 土偶の前後左右 クリやオニグルミの利用範囲と重なっていない土偶の方が圧倒的に少ない 3 山形土偶、ミミズク土偶、余山貝塚土偶――貝 3‒1 山形土偶 書を捨てよ、考古館へ行こう ハマグリと山形土偶の分布範囲 ハマグリとは関係のないところで山形土偶は出来上がる 3‒2 ミミズク土偶 山形土偶とミミズク土偶の中間は存在するが、ハマグリとイタボガキの中間は存在しない 髪型か貝殻か 食用利用されていないイタボガキ 貝の加工工場、中里貝塚 「世紀の発見」に成功した人類学者 3‒3 余山貝塚土偶 4 縄文のビーナス――トチノキ カモメラインという新たな分類 顔の造形について 顔よりも尻派 ほとんど重ならないトチノミ利用 5 結髪土偶、刺突文土偶――イネ、ヒエ 5‒1 結髪土偶 引用元に話を聞いてみる 結髪土偶はどうやって成立したか 5‒2 刺突文土偶 ヒエを栽培していた証拠もない 6 遮光器土偶――サトイモ 遮光器土偶の中心地点ではサトイモは 徐々に大きくなる遮光器土偶の目 縄文ルネサンス 自家中毒的な認知バイアス 7 土偶を読む図鑑 7‒1 縄文の女神 7‒2 仮面の女神 7‒3 始祖女神像(バンザイ土偶) 7‒4 三内丸山遺跡の大型板状土偶 7‒5 縄文くらら 検証まとめ 参考文献 「土偶とは何か?」の研究史(白鳥兄弟) 1 本稿の目的と内容 1‒1 土偶研究の「通説」 1‒2 本稿の内容 2‒1 第1期 明治期 ◎1868~1912年 2‒2 第2期 大正~昭和戦中期 ◎1912~1945年 2‒3 第3期 昭和戦後期 ◎1946~1988年 2‒4 第4期 平成期以降 ◎1989~2020年 3 まとめ 3‒1 各説の内容 3‒2 おわりに 参考文献 〈インタビュー〉今、縄文研究は?(山田康弘) 発想の面白さはある 批判で自由な議論はできなくなる? 民族誌と考古学との接続の問題 理化学で前進している考古学研究 人骨と土器でわかること 男性の世界観と女性の世界観 似ているということ つくりあげられた考古学者のイメージ 考古学の担い手たち 専門家の役割とは? 疲れてしまう取材 土偶研究の次のステップは 参考文献 物語の語り手を絶対に信用するな。だが私たちは信用してしまう(松井実) 参考文献 土偶は変化する。――合掌・「中空」土偶→遮光器土偶→結髪/刺突文土偶の型式編年(金子昭彦) はじめに 1 東北地方北部・縄文時代後期後半~晩期初めの土偶の変遷 2 遮光器土偶および関連土偶(東北北部・晩期前半土偶)の変遷 3 屈折像 B 類と結髪土偶の変遷 4 刺突文土偶の変遷 参考文献 植物と土偶を巡る考古対談(佐々木由香・小久保拓也・山科哲) 考古学会は閉鎖的で強権的? 日本考古学会は男性社会で、土偶は男性のおもちゃ? 土偶については誰も答えられない、何もわかっていない、そして土偶の専門家はいない? 専門知について 土偶を読むをどう読む? データの恣意性― クルミ、トチノキ、クリ、サトイモの痕跡をデータから考える イコノロジーという手法 型式学というものさし 考古学は学際的な研究から孤立しているのか 土偶って一体何? 土偶研究があり得るとすれば、その今後は? なぜ評価されたのか、その土壌を考える 参考文献 考古学・人類学の関係史と『土偶を読む』(吉田泰幸) 加速させる人類学、減速させる考古学 人類学者の説を吸収する考古学者たち 社会へも取り込まれる人類学者の縄文理解 二〇二〇年代の考古学の「叩かれ方」 たとえ「穴だらけ」でも 参考文献 実験:「ハート形土偶サトイモ説」(望月昭秀) ついに土偶の謎を解きました! ハート形土偶サトイモ説 雨乞いの儀式と土偶 『となりのトトロ』の雨乞いのシーン 実験(解読)を終えて 参考文献 知の「鑑定人」――専門知批判は専門知否定であってはならない(菅豊) はじめに 考古学者たちの冷たいあしらい 『土偶を読む』の評価にあらわれる専門知への疑念 専門家が言うことはあてにならない パブリック・アーケオロジーの知見 考古学者が『土偶を読む』に向き合わなかったいくつかの理由 知の「品質管理」 まとめ― 「ポスト真実時代」の専門知の役割 引用・参考文献 おわりに 感謝に次ぐ感謝 執筆者紹介
日本考古学史上最大の謎の一つを解き明かす驚愕の最新研究。土偶とは「日本最古の神話」が刻み込まれた植物+貝の精霊像であった! 日本考古学史上最大の謎の一つがいま、解き明かされる。 土偶とは――「日本最古の神話」が刻み込まれた植物像であった! 「考古学×イコノロジー研究」から気鋭の研究者が 秘められた謎を読み解く、スリリングな最新研究書。 ・縄文時代に大量に作られた素焼きのフィギュア=「土偶」。 日本列島においては1万年以上前に出現し、2千年前に忽然とその姿を消した。 現代までに全国各地で2万点近くの土偶が発見されている。 ・一般的な土偶の正体として 「妊娠女性をかたどったもの」 「病気の身代わり」 「狩猟の成功を祈願する対象」 「宇宙人」…… などの説がこれまでに展開された。が、実はいずれも確証が得られていない。 ・本書では〈考古学の実証研究〉(データ)と 〈美術史学のイコノロジー研究〉(図像解釈学)によって ハート形土偶から縄文のビーナス、そして遮光器土偶まで 名だたる国内の「土偶の真実」を明らかにする。 そこには現代につながる縄文人たちの精神史が描かれていた。 日本、5000年の歴史。 現代人の心的ルーツを明らかにする人文書の新しい展開へ。 はじめに 序章:人類学の冒険 第1章:土偶プロファイリング1 ハート形土偶 第2章:土偶プロファイリング2 合掌土偶 第3章:土偶プロファイリング3 椎塚土偶 第4章:土偶プロファイリング4 みみずく土偶 第5章:土偶プロファイリング5 星形土偶 第6章:土偶プロファイリング6 縄文のビーナス 第7章:土偶プロファイリング7 結髪土偶 第8章:土偶プロファイリング8 刺突文土偶 第9章:土偶プロファイリング9 遮光器土偶 第10章:土偶の解読を終えて おわりに